頚椎症性神経根症

先日来られた患者様ですが、右手の親指と人差し指がシビレるとの事で、机に座りパソコンのマウスを持つ姿勢をすると、さらにシビレが強くなるそうです。「頚椎圧迫テスト」といって患者様の頭に両手を置いて、その両手で患者様の頭を下方にゆっくり圧迫してゆくと、右手の親指と人差し指にシビレが強く出現してきました。普通の方であればそのような現象は起こりません。明らかに異常事態が発生している訳ですので、紹介状をお持ち頂き関東労災病院の整形外科を受診して頂きました。


この関東労災病院は皆様もご存知のとおり地域を代表する高度専門医療を受けることのできる総合病院でありながら、地域の医療機関との連携を大変重視して頂いており、我々のような整骨院からの紹介患者様に対しても丁寧に診察を行なって頂き、必ず結果を文書で報告して頂けます。運営理念のしっかりしたすばらしい病院であると思います。
シビレるというのは、神経が圧迫されることによって起こる現象です。(糖尿病が原因でシビレが出現するといった例外もありますが)今回のように、右手の親指と人差し指がシビレるということは、そのシビレる場所よりも脳に近いどこかの場所で神経の圧迫があると考えます。その場所は手首であったり肘であったりすることも在りますが、「頚椎圧迫テスト」を行なってシビレがひどくなりましたから、圧迫の場所は頚椎(首の骨)にあるだろうということが分かる訳です。
そして数日後、関東労災病院より報告書が届きました。傷病名は「頚椎症性神経根症」です。頚椎とは首の骨のことです。症とは(痛みとかシビレとかの)不具合ということです。性とはここでは「原因」と言う意味でつかわれています。神経根とは、頚椎で例えるなら、通常7個ある頚椎の骨と骨の間から脊髄神経という神経が出て首や肩や手へ分布してそれぞれ分布した場所の知覚と動きを担当しているのですが、その神経が骨と骨の間から出ようとする部分のことをいいます。ですから「頚椎症性神経根症」とは、首の骨に(何らかの)不具合が生じていることが原因で、骨と骨の間から出ようとしている神経の部分に(圧迫などの)不具合が生じている状態ということです。
頚椎のレントゲン検査の結果7個あるうちの5個目と6個目の骨の間隔が狭くなっているのが分かりました。ちなみに、ここを通る神経は親指と人差し指に分布しており、これが原因で神経が圧迫されてシビレが出ていることがわかりました。現在は様子を見ている状態ですが、もっと悪くなる事があるようでしたら、さらに詳しく検査をお願いしようと思っています。

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